ぼくが見て感じたスリランカ紹介9 

【コロンボの街路樹は簡単に倒れる!】 赤岡健一郎

 あまり知られていませんが、コロンボの街路樹は簡単に倒れます。


 コロンボでは5月〜9月のモンスーン期だけでなく、1年中いつでも激しい風を伴った雷雨があります。この様な雷雨の後で、コロンボ市内各所では冠水による交通渋滞がしばしば起きます。海に面したゴールフェースロードはさすがに冠水で通行止めになることはありませんが、ゴールフェースロードからたった1本だけ内陸側にあるデュプリケーションロードでも膝下まで雨水が溢れてしまい、車や人の往来が難しくなる事がしばしばあるぐらいですから、他の道路では冠水によって道路が通行止めになることが日常茶飯事の様にあります。冠水による交通止めならば、暫くして自然に水が引けば通れるようになりますが、厄介なのは街路樹の倒壊による交通止めです。


 コロンボ市内を歩いていると、幹が太くて背が高く、樹齢は何年だろうと思うような立派な街路樹の並木に出会います。街路樹の並木はワードプレース、ホートンプレース、インディペンデントホール周辺等市内いたるところにあります。街路樹の並木だけでなく住宅地でも巨木をよく見る事ができます。


 ペター地区やフォート地区の様な商業中心地区を除けば、コロンボ市内では幹線道路から一歩横道に入れば住宅地になっています。特に、コロンボセブン(7)と呼ばれる地区には植民地時代から受け継がれていると思われる広大なコロニアル様式の屋敷が多くあり、スリランカ人のお金持ちや各国の外交官・外国企業の駐在員などが多く住んでいます。これら屋敷の敷地の庭には花が咲き乱れているだけでなく、塀の外側には道路に沿って大きな樹もたくさん植えられていて街路樹の様になっています。歩き回る事が大好きな私にとって暑い盛りに日陰を提供してくれる有難い存在です。


 余談ですが、殆どの在留外国人はゴルフ場と冷房の効いたホテルやオフィスの中以外の場所で歩く事はありません。スリランカに来る観光客はお年寄りが多い所為もあるのか、観光客が歩き回っている姿をコロンボ市内では見かける事もあまりありません。たいがいの観光客が冷房の効いた観光バスで移動しています。地元の人でも中高校生ぐらいまでは歩いている姿をみかけますが、大人になると殆ど歩きません。ほんの少しの距離でも歩く事を嫌がり三輪タクシーに飛び乗ってしまいます。


 話をもとに戻します。この様な立派な街路樹が激しい雷雨に伴う強風で簡単に倒れます。これらの倒木が道路を横断して交通止めの原因になり、撤去作業の遅れがますます渋滞に拍車をかけます。


 何故こうも簡単に倒れるのかと思い、倒木を観察してみた事があります。どうやら、全体の大きさに比べると根っこが小さいようです。そして根は深く伸びずに、横方向へばかり伸びているように私には感じられました。全くの私見ですが、コロンボの土壌が堅いのか養分が少ないかの理由で縦方向に進まずに横方向に伸びたのか、もともと根が横にしか伸びない種類の樹なのかもしれません。そしてコロンボの温暖な気候によって地上部分はどんどん成長するのに比べて、根は上部を支えられるだけ頑丈に成長するスピードが追いつかない事が、簡単に倒れてしまう原因ではないでしょうか。そして、地上部分と根っこ部分のバランスがとれるギリギリまで一気に成長してしまい、バランスが崩れ始めた時に強風がきっかけになって倒れてしまうのではないでしょうか。


 人間でも上半身は鍛えてあっても、下半身が弱いと全体としては脆いのと同じですね。知識にしたって根本的な基礎知識が無ければ、頭でっかちになりがちです。根っ子の部分が弱いって、スリランカではなくて日本の現状みたいに思えますね・・・。


 コロンボで雷雨のあとに倒木を見つけたら根っこのあたりをよく観察して下さい。そして僕と違った倒木の理由を推理して見て下さい。何処かで発表するわけじゃなし、どんなに奇抜な推理だっていいじゃありませんか、推理する過程が楽しいのですから。スリランカだけでなく、世界中どこででも街中をウロウロしていると色々と面白い事を発見する事ができます。何でだろうと考えるとちょっと面白い時間がすごせますよ。暇な時間ができたら是非とも散歩を楽しんで下さい。