ぼくが見て感じたスリランカ紹介55        植物園・その2

  前回は小規模な植物園としてスパイスガーデンの話をしましたので、今回は大規模な植物園の話をしましょう。 手元にある「○○の歩き方」の最新刊11〜12年版(以下11年版)を見ると「ペラデニヤ植物園」と「ハッガラ植物園」の2か所の植物園がIndexに記載されています。面白い事には手元にある同誌の94〜95年版(以下94年版)にはもう1か所「ヘナラシゴダ植物園」というのが載っています。記載されている文章を読むと、他の2か所の植物園はキャンディとヌワラエリヤという高地にあり、ヘラナシゴダ植物園はスリランカで唯一低地にある植物園なので、他の2か所に比べるとよりいっそう南国的な植物が多い、と書かれています。

 3か所しかない大規模な植物園のうちの一つで、且つ他と違う特色が有るならば貴重な場所かと思いますが、周囲には観光資源が何もない事から外されたのでしょうね。何時から外されてしまったんだろうかと思い、同誌の02〜03年版(以下02年版)を見ると既に外されています。ちなみに、スリランカで発行された地図には同植物園は今でも記載されているので植物園自体が無くなったという訳ではないようです。

 先ずはこの「ヘラナシゴダ植物園」を紹介しましょう。コロンボから国道1号線(キャンディロード)を30kmほど車で進んだところにあるガンパハという町の郊外に「ヘラナシゴダ植物園」はあります。94年版によると、1876年に英国によって王室庭園として造営されたとありますから歴史的な価値もありそうです。広さは15ヘクタールあり、ブラジル、中国南部、ジャワ、マレーシアなどから植物が集められ、貴重な物も含まれているそうです。

 94年版によると当時の入場料は大人がRs.100となっています。僕が赴任する少し前ですから当時の物価に比べると結構な値段だったと思います。記憶では、現地の人達が食べていたランチパック(もちろんカレーです)がRs.20ぐらいで紅茶は1杯がRs.5ぐらいでした。ガンパハは運転手のウダヤ君の住んでいる町で、ウダヤ君は毎日此処から満員バスを乗り継いでコロンボまで通勤していました。住んでいたにもかかわらづ、ウダヤ君は地元の植物園をそれほど大した物だとは考えていなかった様です。

 何故かと言うと、僕はウダヤ君と一緒にキャンディへの行き帰りに数えきれない程何度もこの町を通っていたのに、ウダヤ君からは此処の植物園に関しては一度も聞いたことが無かったからです。しかも、次回に紹介予定の「ペラデニヤ植物園」には何度もウダヤ君の運転する車で、お客様をお連れした事があったので、地元の植物園を思い出す機会は何度もあったのにです。したがって、僕は「ヘラナシゴダ植物園」を訪問したことがありません。今回この話をしなければ、これから先も知らないでいた場所でしょう。機会があれば是非とも訪問したい場所の一つです。
 次は「ハッガラ植物園」を紹介しましょう。この植物園は紅茶の産地として、最近では高原リゾート地としても国外でも有名になってきたヌワラエリヤの中心部からキャンディとは逆方向の西海岸へ向かって約10数kmほど下ったところにあります。

 此処には何度か行ったことがありますが、植物に関してはあまり印象が残っていません。印象に残っているのは、この植物園全体が斜面という立地条件です。入場口の辺りの標高が一番低く、面積が約27ヘクタールある広大な植物園内を巡るには山頂方向に登るコースしかありません。往路は植物を愛でている余裕なんてありません、歩くだけで精一杯です。植民地時代の初期にはマラリヤの特効薬として知られるキニーネの原料となるキナという木のプランテーションでした。それが1861年に英国によってバラとシダを集めた植物園に生まれ変わりました。バラとシダと云うのがいかにも英国人好みですね。

 園内には山あり、川あり、谷ありなので、植物を鑑賞するよりはお弁当を用意してのハイキングに向いています。入場料は94年版ではRs.100、02年版ではRs.150、11年版では大幅に値上がりしてRs.600となっています。今回の原稿を書くためにスリランカ発行の地図を眺めていたら、[○○の歩き方]にはHakgala Botanical Gardensとしか記載されていませんが、現地発行の地図ではHakgala Sanctuary Botanical Gardens と記載されている事に気づきました。この場所はスリランカの人達にとっては何らかの鳥獣保護区かもしれませんね。

 赴任していた当時、「ハッガラ植物園」に行く時にはもう一つ楽しみがありました。植物園から東方向に十数キロ下った先にある、名前は忘れてしまいましたが山小屋風のレストランに寄ることです。此処ではLTTEとの国内紛争中であったにも関わらず、マンゴー、パパイヤ等の南国特有の果物だけでなく、さすがに涼しい高原地帯です、季節に応じて収穫したてのイチゴやオレンジ、洋ナシなどを食べる事ができました。テラスからは庭のバラ園、谷間に広がる紅茶畑、遠くの山並みを見ながら、この店の名物のピザも食べる事ができます。ヌワラエリヤから東海岸方面又は南海岸方面への旅を計画されている方は、時間があればハッガラ植物園にもお立ち寄り下さい。

今回はペラデニヤ植物園までたどり着くことが出来ませんでした。次回はペラデニヤ植物園と周辺情報をお伝えしようと思います。 




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