ぼくが見て感じたスリランカ紹介64     スリランカ人は水浴びが大好き



 今回は何を書こうかなと考えている時に、スリランカ人の日常生活の中でも大切な行動だと僕が思っている「水浴び」について、これまでテーマにしたことが無いのに気が付きました。今回はスリランカの人達が一日に何度も行う水浴びを紹介しましょう。

 スリランカでは暑さの程度を表すのに使う言葉は、「暑い」「少し暑い」「とても暑い」の三種類で足りると言われています。少なくとも僕の友人達はこの様に表現します。キャンディやヌワラエリア周辺の高原地帯では朝晩は涼しくなりますが、日中の暑さはかなりの物で同じような表現になります。年間を通じても季節による温度差はほとんどありませんから、ほぼ一日中暑いので少し動いただけで直ぐに汗まみれになります。更にスリランカの人達は綺麗好きなので、一日に何度も水浴びをして着替えをします。遊びから帰ってきた時、学校から帰ってきた時、会社から帰ってきた時、畑仕事や庭仕事やそのほか何処から帰ってきた時に、時には理由が無い時でもスリランカの人達は水浴びをするのです。

 何処で水浴びをするかと言うと、近場に手ごろな水浴び場がない都市部の人達は自宅の浴室でシャワーを浴びます。都市部を離れると、各々が自分のお気に入りの水浴び場を近所に持っています。家の前を流れる川であったり、以前紹介したTANK(貯水池)であったり、裏山から流れ落ちて来る小さい滝であったり、家の屋根に設置された雨水を溜める桶の水を利用したシャワーだったりします。ドライブをしていると、本当にそこかしこで水浴びをしている姿を見ることが出来ます。時には道路脇の側溝で水浴びをしている、建築作業員とおぼしき人がいて、車の埃をまき散らすのが申し訳ない気持ちがします。

 建設会社の駐在員だったので、工事現場の寮で作業員達の終業後の姿を見る機会が多くありました。仕事が終わって最初にするのが水浴びです。現場にある給水塔の下部にシャワーが取り付けてありこれを使います。サロン(又はサロマ)と呼ばれる1枚の布を腰に巻きつけて上半身裸で、石鹸を頭のてっぺんから体中にこすり付けて、泡だらけになって水浴びをしていました。この時に使う石鹸ですが、スリランカ国産の石鹸や最近では各種薬草入りの薬用石鹸が出回ってきていますが、何と言ってもラックスブランドの石鹸が一番人気です。日本でもこのブランドは人気がありましたが、スリランカでは今でも値段は高めですが、このブランドの石鹸の人気が高いようです。

 川や貯水池で水浴びをしている女性達は、頭からすっぽりかぶるポンチョの様な胸から下を隠す服を着て、あまりジロジロ見る訳にもいかないので想像ですが、服の中で体を洗っているようです。女性達は子供、友人達と誘いあって洗濯を兼ねて水浴びに来ています。話をしたり笑いながら洗濯をし、逃げ回る子供達を捕まえては服をはぎ取って体を洗っていきます。女性達が水浴びを始める頃には子供達は裸のままで、石の上から水に飛び込んだり、水を掛け合ったりして時間が過ぎていきます。川での水浴びの様子は2008年3月に紹介したバス旅行・最終話でも書いているので参照ください。

 コロンボからキャンディに向かうと、キャンディの少し手前に長い坂道が続く場所があります。景色の良い場所なので観光客目当ての小さな食堂や果物屋が点在しています。一番の眺めはバイブルロックと呼ばれる、聖書のような形をした岩山で、この岩山周辺でインディージョーンズの1作目の一部が撮影されたことでも有名です。

 この場所で紹介したいのは景色の良い側とは、道路の反対側にあります。こちら側には切り立った岩山しかありませんが、ただ一つあるのは山の中腹から垂れている長いホースです。流れ出る水は山の地圧を受けて、まるで高圧洗浄機のような水圧で、水の勢いでホースが踊っています。もともとは山から水を抜いて山が崩れるのを防ぐためではないかと思いますが、この高圧ホースを使ってトラックを洗っている運転手をよく見かけます。車を洗い終わると、運転手はその仕事でかいた汗を流すために水浴びを始めます。

 ホースを上に向けて持ち噴水のようにします。直接に体に高圧の水をかけると痛いのでしょうね。仲間同士でホースを持ち合ったり、片手でホースを持ち空いた手で体を洗っている器用な運転手もいます。そんなに無理をして、この場所で水浴びをしなくても良いのではないかと思いますが、水浴びが気持ち良いのでしょうね。此処では景色を見るのが当たり前ですが、もしも景色を見るのに飽きたら反対側も面白いですよ。

 スリランカ各地で活動している海外青年協力隊の人達は、活動先の住人と同じように水浴びをしていました。温水シャワーのあるような場所では隊員達は活動していないからです。コロンボにいる隊員がよく利用する、コロンボで一番安い日本食レストランで会った何人かの隊員に、何処でシャワーを使うのか聞いた事があります。さすがに川という人はいませんでしたが、主に家の屋根に設置された雨水桶を利用したシャワーか、裏山から落ちてくる水を集めたシャワーを使っていたようです。

 いずれも水が冷たいので慣れるのが大変だったそうですが、慣れてしまうとスリランカの人達と同じように日に何度も水浴びをするようになるそうですが、それでもたまには温かいお湯のシャワーか、浴槽に浸かりたくなるそうです。。この時間の流れがスリランカの物差しの基準かもしれませんね。             (次号に続く)   


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