ぼくが見て感じたスリランカ紹介74      

アッパァに挑戦

  12月8日に開催された2013年・夢広場の「調理室で楽しむ特別イベント・世界の料理にチャレンジしよう!VOL.T」でアッパァ作りの体験教室を行いました。アッパァはお椀型のクレープの様な食べ物で、周りはサクサク、底部はモチモチ・フワフワした食感でココナツの香りが高いです。

 アッパァの作り方を簡単に説明しましょう。米粉、ココナツミルクと前発酵させたイーストを混ぜて生地を作ります。生地を少し寝かせ、油をひいたアッパァ専用のお椀型のフライパンに流し込み、一回しさせて蓋をすれば出来上がりという、いわばお椀型をしたスナックです。

 スリランカでは、よく朝晩の食事時にご飯の代わりにカレーやポルサンボールをつけたり、焼く時に卵を落とし入れたり溶き卵を回しかけて食べます。食事時だけでなく軽いスナックとして食べられることもあります。町を歩いているとアッパァを山積みにして売っている店をよく見かけます。ポルサンボールはココナツフレーク、チリ、ライム、玉ねぎ、砕いたモルジブフィッシュ(鰹節)や塩などを混ぜ合わせたフリカケの様なものです。

 昨年までとは違って今回は室内で夢広場が開催されるので、スリランカの食べ物をブースで調理して販売する事は出来ません。スリランカの食べ物を紹介出来る唯一のチャンスは調理室で行われるイベントのみです。スリランカ日本武道協会会長のシリーさんと相談して、見た目が良くて簡単そうという理由だけで、アッパァを紹介する事に決めましたが、これが大きな間違いでした。

 先ずは、アッパァ専用フライパンを捜す事から始めました。多くのスリランカ人に聞いてみましたが、持っている人が見つかりません。しかもよく聞いてみると、ほとんどのスリランカ人が本国に居た時も自分の家でアッパァを焼いているのを見た事が無い、あれは店で買う物だと言うではありませんか。不味いなと思いつつ、仕方がないのでスリランカから取り寄せる事になりました。10月の中旬に3個のフライパンが到着しましたが、今度はレシピが判りません。

 漸くインターネットで数種類のレシピを探し出して調理練習開始です。ところがレシピ通りに調理してもお椀型になりません。10月末にシリーさんの家でカレーパーティーがありました。その時にカレーを調理してくれたスリランカ人にも「上手く焼くコツ」を聞いてみましたが、この人もアッパァを焼いた経験がありませんでした。試行錯誤で皆で挑戦した結果のできばえは、最もできばえがよいものでも破れたクレープに目玉焼きが乗ったようなものにしか見えません。

 夢広場まで残り約1カ月半しかありません。それからは1週間に2〜3回は材料の分量を変え、火加減を調整しての試行錯誤の連続です。この頃はココナツの香りにも食傷気味になっていました。夢広場の1週間前になって漸く何とかお椀型になってきました(写真1)。
でも、まだ周りはサクサクで底部はモチモチ・フワフワという食感がありません。残りの1週間は、ほぼ毎日のように焼く練習です。トータルで何枚のアッパァを焼いたのか判りません。

 さて、夢広場当日になりました。自分達の販売用のブースをセットし午前中はのんびり出来ましたが、12時を過ぎるとブースは友人に任せて、まだ調理室の午前中のプログラム・ラグ麺のワークショップが終わっていない調理室の片隅で仕込み開始です。家では小さなボゥルで生地を作っていましたが、ここでは6倍もの材料を使って一番大きなボゥルで生地を作りました(写真2)。午後1時少し前になるとアッパァ作りにチャレンジする十数名の人達が集まり、いよいよ本番スタートです。

 先ずはレシピを配って座学から始め、次に僕がお手本を見せ、その後ゲストの方々に焼いてもらいます。最初の1枚は全員がお椀型にならずに失敗。2枚目、3枚目と焼いていくうちに段々とお椀型に近づいてきます。3枚目辺りから生地をフライパンに流し込み、一回しさせて生地を広げる要領が判ってきて成功率が高くなってきました。ここで卵を落とし入れて試食用のアッパァを焼くことにしました(写真3)。


 最終的にはほぼ全員が何とかお椀型のアッパァを焼くことが出来、自作のアッパァとアジア草の根支援交友会の高橋さんの入れた香り高いセイロン紅茶でスリランカ風のティータイムを楽しんで頂きました。教室が終わった後も、余った生地を使ってシリーさんと一緒に数えきれない程のアッパァを焼き続けました。スリランカ人のシリーさんもこの日がアッパァを焼くのが初めてでした。

 最後に、この日僕が一番上手く焼けたアッパァをご覧にいれましょう。溶き卵を回してあり、食感も完璧です。練習の成果ですね。(写真4)。


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