ぼくが見て感じたスリランカ紹介78
      

スリランカの鉄道  その2


  前回は鉄道マニア向けのヴィハーラ・マハー・デーヴィ公園にある軽便鉄道の話で終わりました。今回も鉄道マニア向けのマニュアックな話から始めようと思います。

 コロンボ市内のフォート駅の近くにマラダナ車輛整備工場があります。此処ではスリランカ国鉄所有のほとんど全ての車両の点検・整備や修理を行っています。これだけでもマニュアックな話ですが、実はこの整備工場には植民地時代の1858年にスリランカで最初の鉄道が敷設されて以来国鉄が使用してきた、19世紀~20世紀に製造された英国製の蒸気機関車や客車が保存されています。

 日本でならば、京都市にある梅小路蒸気機関車館やさいたま市にある鉄道博物館のメイン展示物になるような代物です。おそらく世界中の蒸気機関車愛好家にとっては垂涎の的だと思います。ところがスリランカでは、鉄道関連の博物館が将来建てられたら展示物にしようと保存しているわけではないようです。

 スリランカでは日本よりも早い1969年に蒸気機関車の運用が廃止され、全線でディーゼル機関車の運用が始まりました。その時に使われなくなった蒸気機関車を、保存と言うよりは単に解体しないで放置してあるだけの様です。スリランカらしいと言えばそうなのですが、ある日突然思いついて解体してしまわないか心配です。

 次は観光客に人気のある3路線を紹介しましょう。スリランカをノンビリ旅行してみたい方は是非利用して下さい。

 先ずはメインラインと呼ばれる、コロンボから世界遺産の街キャンディを経て紅茶の集積地として有名なバドゥッラまでの約292kmの路線から始めましょう。

 所要時間はキャンディまでは3時間前後ですが、キャンディから先は列車によって10時間前後かかる事もあるので、チケット購入時に確認してください。列車の出発時間より早めにホームに行って、席の確保をしましょう。列車に乗ったならば、必ず向かって右側の席を確保して下さい。キャンディの少し手前のポルガハウェラからは山登り区間に入り、右側の席からは広大なジャングルや谷間にある小さな集落等の風景が楽しめます。反対側の左の窓から見えるのは崖ばかりで、これで同じ料金かと思うばかりです。

 キャンディからバドゥッラまでは車窓にヌワラエリヤ等の茶畑が広がりアジアで一番綺麗な景色と紹介している旅行雑誌もあります。メインラインを走る列車には食堂車や展望車が連結されている事があります、チケット購入時にはこの事も確認しておくと良いでしょう。スケジュールに余裕のある方には、キャンディで列車を降りて1~2泊し、仏歯寺やキャンディと周辺の町を見て回ってから改めてバドゥッラに向かう事をお薦めします。
 次はコーストラインと呼ばれる、コロンボから海浜リゾート地で有名なベントータ、スリランカのサーフィンのメッカであるヒッカドウワ、世界遺産の街ゴールを経スリランカ最南端の街マータラまでの約156kmの路線を紹介しましょう。所要時間は4時間前後です。

 この路線では絶対に右側の席を確保して下さい。まぁ、どうしても海は嫌いだと言う方は左側でも構いませんが。この路線はフォート駅を出発してすぐ、ゴールフェースホテルの裏側辺りから海岸線に出ます。此処からマータラまで、時々はジャングルの中を走る区間もありますが、インド洋に沿って南下します。沿岸近くで操業している小さな漁船や、沖を航行しているタンカーや貨物船、夕方の列車に乗ればインド洋に沈む夕日を見る事が出来ます。
 メインラインと違ってこの路線では、漁村などの集落が線路の近くにあります。列車のスピードはゆっくりなのでスリランカの人達の生活を垣間見る事ができるでしょう。この路線でもスケジュールに余裕のある方には、ゴールで列車を一旦降りて1~2泊し、ゴールの砦(フォート)や旧市街と周辺の町を見て回ってから改めてマータラに向かう事をお薦めします。もっともマータラまで行かずに此処で引き返えしても良いでしょう。

 次はノーザンラインと呼ばれるコロンボからクルネガラを経てアヌラダプラまで約205kmの路線を紹介しましょう。所要時間は4~5時間です。

 この路線の特徴は何といっても、シンハラ王朝の遷都の歴史を遡る事にあります。クルネガラまではそれほど変わった景色ではありませんが、クルネガラを過ぎるとキャンディを除いてほとんどの王朝があった都市を辿って北上します。

 沿線には各王朝が築いたタンクと呼ばれる貯水地を多く見る事が出来ます。人口の池ではありますが紀元前から存在している貯水池もあり、周囲の景色にすっかり溶け込んでいます。タンクだけでなく、うっかりすると見落としてしまいそうな小さな遺跡が沢山あります。

 スケジュールに余裕のある方は、お好きな駅で降りて時間が許す限り滞在する事をお薦めします。コロンボとは全く違ったスリランカを体験して頂けることでしょう。

 次回は、チケットの購入方法などを紹介します。。                (続く)


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