ぼくが見て感じたスリランカ紹介88

                       スリランカ・カレーよもやま話X

      

  先ずは、スリランカ・カレーよもやま話の1回目に次回説明すると書いたのに、ずっと気になりながらも書けなかった、お米の種類や炊き方、パパダンやポルサンボール等のサイドメニューについて説明します。

 お米に関しては気になりながらも書けなかったのには訳があって、本当に基本的な違いで、もしかするとかなり以前にあった日本での米不足の時にタイ国から緊急輸入された米の匂いが不評だった原因につながるかもしれません。ここいらが良く理解出来ていなかった為に延ばし延ばしになってしまいしたが、勉強しましたので漸く書けるようになりました。

 この違いを含めてお米の種類から説明しましょう。日本では標準米や秋田○○○等の様に産地の名称が付いたお米が流通しています。ご存知の様に、色々な名称が付いています。最近では雑穀米や米の原種に近い物も出回っていますが、基本的にはジャポニカ米である事には違いがありません。

 アジア各国でジャポニカ米を栽培しているのは少数派で、ほとんど国ではインディカ米が栽培されています。もちろんスリランカでもインディカ米が栽培されています。お米の形は丸いのや長いのやら色々とあり、色も白いのから赤色や黒っぽい物まで色々あります。主として少し赤みがかったお米(レッドライス)が食べられています。

 レッドライスにも丸みを帯びた小粒種と長粒種があり小粒種の方が好まれています。ちなみにスリランカに駐在している日本人は、アメリカやオーストラリアで栽培され輸入されているジャポニカ米を食べている人が多いです。何でも、日本産のコメは日本の法律で簡単には輸出できないそうで、わざわざ他所の国で作っているジャポニカ米を、スリランカ米の5〜6倍のお金を払って購入しています。日本では米余りなんて言われているのに、海外で生活している日本人は他国産の高価な米を買っている、何とかならないものですかね。

 さて、お米の匂いの原因ですが、ジャポニカ米とインディカ米の違いではありませんでした。スリランカだけでなく、多分インディカ米を栽培しているアジア各国でも同じだと思われます。お米の形や色とは関係なく、パーボイルド(par-boiled)と言って米を収穫後に籾を付けたままで半茹でにします。多分、暑い国なので保存との関係もあるのだと思われます。

 この籾を付けたままで茹でてしまう事によって、多少籾の匂いが付くようですが、現地の人達は全く気にしません。気にしないと言うより、当然と思っているのかもしれませんね。日本では籾を付けたままで茹でるなんて、思いもつかない方法です。これがタイ国から緊急輸入された米の匂いの原因だったのかもしれません。

 パーボイルドされた米の他にキャクルハールと言う、茹でないので生のまま脱穀したお米も売られています。こちらは炊いた後でも匂わず、スリランカに嫁いだ日本人の方にも好評の様です。パーボイルドされたお米はタンバプハールと呼ばれ、こちらの方がキャクルハールよりも若干高価ですが、スリランカの人達には人気があります。特にカレーには絶対にタンバプハールの方が合う様です。
 お米の炊き方とも関係しますが、一旦茹でる事によって炊き上がりがサラサラになり、カレーとの混ざり具合が良いからです。更に一旦茹でる事によってお米に含まれる糖質が減り、健康にも良いとされ、特に糖尿病に効くと言われています。余談ですが糖尿病はスリランカの国民病で、自らビッグイーター(big eater)と呼ぶほどスリランカの人は大量の米を食べます。紅茶に入れる大量の砂糖や練乳、超甘いケーキ等色々と原因は有るので、お米ぐらいはタンバプハールを食べた方が良いでしょう。

 次にお米の炊き方です。スリランカではアジア各国と同様に湯取り法と呼ばれる炊き方をします。調理方は至って簡単、蕎麦や饂飩、パスタを茹でるのと同じ様に、鍋に大量のお湯を沸かし米を投入して茹でるだけです。

 お米の芯が少し残り歯ごたえがある、いわゆるアルデンテで火を止めます。この状態でザル等にお米をあけ、良く湯切りをした後に鍋に戻して蓋をして芯が無くなるまで蒸らします。この方法は教科書的な上品な方法で、何時も忙しい主婦は、火傷をしないように気を付けながら、アルデンテの状態で蓋をし、鍋をひっくり返して湯切りをして、そのまんま鍋を放置しておきます。どうしてもザルに残ってしまうお米や時間を節約したい主婦の知恵なのでしょう。主婦の勘で蒸し上がる時間が判るみたいです。

 湯取り法の利点は、大量のお湯でお米を茹で、茹で水を捨ててしまう事によって、お米に含まれるデンプン質やパーボイルドで減らされた糖質を更に減じられる事です。但し、日本人好みのお米のヌメリは無くなりサラサラのご飯が出来上がります。

 今回でカレーの話は終わらせる予定でしたが、サイドメニュー等の話に至らないうちに予定枚数になってしまいました。

 スリランカの料理にテンプラードゥワと言うのが有ります。これはポルトガルから伝わった料理で、日本の天麩羅と同じ語源になります。こんな話をお伝えしたいので、申し訳ありませんがもう1回だけおつきあい願います。



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