媛媛講故事―11

                         
   孟姜女の伝説 Ⅰ              何媛媛

 

 
中国にはよく知られた四大伝説があり、「孟姜女の伝説」はそのひとつです。

 話は秦の時代に遡ります。江南地方のあるところ、孟という苗字の家の庭に瓜が一本植えてあり、その瓜の蔓が塀を越えて隣の姜という苗字の家の庭にも伸びてゆきました。秋になって瓜は大きく立派に実りましたので孟と姜の両家で半分つづ分けることにしました。

 ところが瓜を割ってみますと、とても綺麗な可愛い女の子がいました。孟家には子供がいませんでしたので、孟夫妻はとても喜んで、女の子に「孟姜女」と名づけ自分たちで育てることにしました。

 孟姜女は両親にそれはそれは可愛がられながら幸せに育ちました。そしてその後十何年か経ち、聡明で美しい女性に成長しました。

 その頃はちょうど秦の始皇帝が万里の長城を建て始めたところでした。その為の労力が限りなく必要なため、役所はいたるところで労役に送る人を捕らえていました。ある時、範喜良という青年が危うく捕らえられそうになり、家から急ぎ逃げ出し、あちこち逃げているうちに知らずに孟家の庭に入ってしまい、そこで孟姜女に出会いました。

 青年は真面目な書生のように見えましたので、孟姜女は可哀相に思い、両親と相談の上、青年に孟姜女の家でしばらく隠れてもらうことにしました。

 範喜良は大変礼儀正しく立派な青年で、学問もあり、孟夫妻はこの青年が気に入って娘婿になってくれればどんなにいいだろうと考えるようになりました。そこで娘の孟姜女の気持ちを尋ねてみると、孟姜女もまた範喜良に少なからず好意を寄せていましたのでこの縁談を纏めることにし、良い日を選んで、結婚式を挙げました。

 二人の結婚生活はこの上なく幸せでしたが長くは続きませんでした。範喜良はまるでそうなるのが運命であるかのように、結局役所が派遣した兵士に捕らえられ、遥か北方で万里の長城を造る労役に送られてしまいました。

 孟姜女は夫のことを思い、毎日泣きながらその後ずっとたよりを待ち続けましたが、一年、二年経っても夫からの音信は全くなく、その消息は何も聞こえてきませんでした。

 孟姜女は夜も寝ずに冬の服を作り上げ、それを携えて万里の長城の工事現場へ自ら夫を探しに行こうと心を決めました。

 旅の道中、孟姜女は病気に罹かったり、悪人に虐められたり、疲労で倒れたりなど、108の苦難を乗り越えながら命がけで北へ北へと歩き続けて行きました。(つづく)




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