「中国が笑う日本の資本主義」  

                  跡田直澄 著     ヴィレッジブックス新書  

                      

  「中国が笑う日本の資本主義」というタイトルは、日本が資本主義として機能しきれてない官僚主義国家である、ということの表現。さらに本書では、日本の政府・官僚社会の問題点を挙げ、対策を述べている。では、誰が、いつ、その対策を実現させるのか。

 私は、社会人の最初の6年間が営業職だったが、本当によかったと思っている。なぜなら、「お金を持ってくる大変さ」を、身を持って知ったから。

  今は事務職として働いているが、同じ課で働く10歳下の女の子の甘さに不安を覚える。「お金を持ってくる大変さ」を知らないゆえの、仕事の甘さ。お金を払う人に対して、申し訳のない働き方はできない。自分の働き方が対価に見合っているか常に問うべきだと、自身は思っているが、伝えるのは難しい。

 昨年まで一緒に働いていた同僚は、「事務職は結局、現場を支えることしかできない。だから、現場を知らないとできない」といって、あえて異動していった。彼女は事務職としてもミスなく仕事をこなす、プロフェッショナルな人だった。プロとは常に上を向いているものらしい。

 民・公に関わらず、組織の問題点に敏感で、対策に積極的な人はいるし、その逆の人もいる。ただ、違いがあるとすれば、「お金を持ってくる大変さ」を知っている人が多いか、少ないかだと思う。

 日本の借金が1千兆円を超えて、対策が必要なのはわかっている。ただ、その対策を実現させるには、どうしたらいいのか。税金で賃金を支払われているすべての人が、「お金を持ってくる大変さ」について実感を伴って知っていれば、解決はもっと早いと思うのだけど。(真中智子)





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