「震災から2年 あの日から変わったこと」

                      

 4月の晴れた日曜日、観光でいらした外国人の散策にお供した。当然、通訳兼ガイドの方は別にいて、私は写真係。ちょっと大げさなカメラを持たされて、金魚の糞よろしく、後を付いていく。

 外国人とは、オーストラリアからいらした御仁お二人だ。せっかくなので、英語がまったく話せない私も、海外旅行で磨かれた、ボディランゲージで会話する。これが、なかなか通じるので面白い。お二人とも、私の挙動不審な動きに、ひとつひとつ付き合ってくれて、帰り際には、コアラのキーホルダーをくださった。

 外国の方と一緒に、3時間の散歩はかなり楽しかった。何より、彼らが何気ないことに、ひとつひとつ驚いて、興味を示されるので、いつもの街が、急に個性豊かに光ってくる。

 まず、駅から歩いてすぐに、パチンコ店に惹かれる。オーストラリアにパチンコ店はないらしい。入ってみたい!と、ぞろぞろと全員で入っていくと、すぐに出てきて“Noisy!”とおっしゃる。そりゃ、そうでしょう。そして、すぐに自動販売機に反応。「これは、温かい飲み物が出るの?」と楽しげに聞く。

 「買ってみたらどうですか?」と私もボディランゲージで、お勧めする。お金を入れて、缶コーヒーを買う。出てきた缶を右手左手交互に持ちながら、”Hot! Hot!”と、益々楽しげ。

 私も海外に出ると、他愛ないことが楽しいので、気持ちがとてもよく分かる。自動販売機の前で、缶コーヒーを片手に、満面の笑みの写真を一枚撮影。缶コーヒーを片手に、散歩を続ける。

 「すごいねー。道がこんなに細いよー」と、彼らはまた感動。電線を指さして、またまた感動。鯉のぼりを発見して、さらに感動。オーストラリアには、大きな道しかないらしい。そして、電線もない。当然、鯉のぼりもない。ひとつひとつが、珍しくてキラキラしている。一緒に、日本という「外国」を旅した気になった。 。                                       (真中智子)


           
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